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魔人。

こんな韓国推理小説があったなんて!

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김내성先生の「마인」。

以下、ネタバレありますのでご注意を。

(犯人とか誰が殺されるとかは言わないですけどね~。)

1939年作のお話、舞台は日帝時代の京城、

そして、事件は京城でも珍しい「仮面舞踏会」の会場で

起こります。

日帝時代の小説と言うと「韓国短編小説集」で出てくる様な

おも~くて、くら~くて、こんな生活、みんな日帝のせいだ!

って感じのしか読んだ事なかった私、

う~ん、日帝時代の推理小説か~…

悪者の日本人が出てくるのかな~…

また、古語なのか方言なのかわからないような言葉なのかな~…

と思いつつも手にしてみると。

なんと!読める!読めるじゃないか!!

私、ひょっとして古い小説も読みこなせちゃうかも(・∀・)♪

…と思ったら現代人が読みやすいように書き直して

下さっている本でした(-ω-;)…。

お陰様で120%楽しんじゃいました。

日帝時代の暗さは隠ぺいされ、華やかな京城の情景が

目の前に浮かび上がるお話です。

(しかし、そんな華やかさの中で殺人事件が起こるんですけど。)

京城スキャンダルOSTを聴きながら読むと雰囲気アップupupup

タイトルからしてちょっと恐ろしそうで、読み始める前は

重たい気分でしたが(なのになぜ購入(笑))、

結局は最後までウハウハしながら読んじゃいました。

まず第一に、文体が面白く、かつ洒落てる。

話者は「筆者」。

ところどころで「読者諸君!」みたいなカンジで、

筆者と共に事件の顛末を眺めている気分になります。

小説の中の探偵にこんなセリフを言わせてしまうのも面白い。

나는 지금 탐정소설 속의 인물이 아니고

하나의 생생한 현실 속의 인물이다.

私は今、探偵小説の中の人物ではなく、

1人の、生々しい現実の中の人物だ。

いや、あなた探偵小説の中だよ(´▽`)ノ…と

突っ込みたくなるウィット。

あちこちに、この様なクスリと笑ってしまう様なウィットが

散りばめられています。

今まで読んだ韓国の推理小説って2冊と半分くらいしか

ないのですが、結構、グロい場面とか暴力的なシーンが多く、

そういうのヤなんですけど、このお話は、そういうグロさが

全くありません。

もちろん、殺人事件は起きますが、殺人方法に集中していません。

そこがまた、安心して楽しめた理由の一つです。

こんなオシャレな文も出てきました

먼 듯하면서도 가까운 것은 젊은 남녀의 마음과

마음이라고, 이것은 연애소설독본 제일과에

쓰여 있는 말일 것이다.

遠いようでありながらも近い物は、若い男女の心と心だ、

コレは恋愛小説読本第一課に書かれている言葉だろう。

여자란 항상 은혜와 애정을 혼돈하는 습관을 가진

동물이라고, 이것은 또 어느 대중소설가의 전매특허가

되어버린 문구라던가.

女性とは、いつも恩恵と愛情を混同する習慣をもった動物だ、

コレもまた、どこかの大衆小説家の専売特許になってしまった

文句だっただろうか。

なんだかこんなニヒルでダンディーな雰囲気の「筆者」さんの

話に、ズルズルと引きずり込まれていくのです。

更に、本の最後の解説文の下にこんな親切な注釈が。

이 글에는 《마인》의 내용 누설이 들어 있습니다.

본문을 모두 읽은 후에 이 글을 읽어주시기 바랍니다.

この文(解説)には魔人のネタバレが含まれています。

本文を全部読んだ後にこの文を読まれますように。

いや~危うく途中で解説読んじゃうとこでした、私coldsweats01

改めて、推理小説って難しいな~と思ったのは、結末。

結末に至るまで、犯人はあの人?いや、こっち?と

思わせるようなヒントを与えつつ、

ある意味、予想を裏切るような結末が必要。

しかしながら「それってアリかよcoldsweats02」と思う様な

結末であってはいけない。

(ちなみに私が今まで読んだ本の中で、

最も「アリかよcoldsweats02」と思ったのは

心臓を撃たれたはずの人が、実は内臓反転?

心臓が右にある人で生きていた、っていう結末(-_-))

このお話の結末もある意味意外性を伴うモノでしたが

壮大なスケールで終わった感じで面白かったです。

寝る前に1日15ページくらいずつ読んでいたのですが

最後の40ページは止められず一気読み。

それくらい、え!?え!?どういう事coldsweats02!?と

最後まで面白さをズルズルと引きずってくれています。

ガス灯、電車の音、薄暗い小道、仮面舞踏会、

広い庭付きの大邸宅、そしてネオン輝く京城…

そんな京城の街に溶け込んじゃったような錯覚に陥る、

生き生きとした描写。

殺人事件が起こる推理小説、本来暗く辛い時代だったはずの

日帝時代の小説にこんな言葉を使うのはどうかと思いますが

しかし、それでもやはり「素敵な雰囲気の推理小説」でした。

文句なし、5つ!10個あげたいくらいhappy02

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韓国語本」カテゴリの記事

コメント

これ、有名な本なんですか?
海さんの評が素晴らしくてチョー読みたいけど、果して図書館にあるだろーか?
ホントに日帝時代の本やドラマは、つらくて読めない、見られません。
京城スキャンダルも、そういう意味でギブアップしたんですわ(^^;)。
コヒプリにも、チラッとそんな描写があったような?
でもこの本なら大丈夫そうだし。
それにしても驚くのは、海さんの読むスピードの素晴らしさだわ(^^)。

投稿: ハーちゃん | 2012年2月10日 (金) 19時02分

うちの母(ハーちゃんさんよりおトシですが。)も
同じ事を言ってました。
京城スキャンダルは見れなかったと。
韓国に行った時もお年寄りと目が合うとギクリとすると。

スピードが早いのかどうかわかりませんが、
本の虫の我が兄も通勤の往復で2時間近く本を読むので
私もそれくらい読んでもバチ当たらんべψ(`∇´)ψ
…と開き直り1日2時間くらいは読もう!
…と思ってもなかなかそうは問屋がおろしませんで。
寝る前の30分は確保するようにしています。
その後、心臓の方は大丈夫ですか??

投稿: 海 | 2012年2月10日 (金) 19時31分

お母様、私よりお若いかと(^^;)。ナイヌン ムッチ マセヨ〜(^^;)。
私も日本語の本なら、かなり速読できるのですが、韓国語だとやっぱり実力不足のせいかダメですねぇ。なんとかせにゃあ。
ありがとうございます。心臓なんですが、先生は「機能的には問題無い」とのことですが、念のためホールター心電図をつけたわけです。今日はずしてもらいに行って来ました。先生の次回の診察は20日なので、その日に詳しいことがわかるでしょう。
自律神経からも不整脈(頻脈)になるそうです。ストレスの原因が多くて(^^;)。

投稿: ハーちゃん | 2012年2月10日 (金) 21時18分

ひとまず、一安心ですね?
でも無理は禁物~、コン詰めた事などし過ぎず
のんびりお過ごし下さいね^^

実は私もモノスゴイ自律神経失調症です(笑)。
立ちくらみどころか立ち膝くらみ(座った所から
立ち膝になったとこで。)もしちゃいます。

投稿: 海 | 2012年2月10日 (金) 23時23分

やっぱりこれ図書館にありませんでしたー。ハハハ(^^;)。
海さん、自律神経失調症ですか? 実はよく知らないのですが、いろんな症状が出るのかしら?
不整脈ですが、先生によると「甲状腺」が原因の場合もあるとか。それで採血されたようです(^^;)。

投稿: ハーちゃん | 2012年2月13日 (月) 10時33分

なんと(と言うより、やはり?)ありませんでしたかbearing
是非リクエストを!

なんだか、昔は原因のよくわかんないものをひっくるめて
自律神経失調症とか言いましたけどね~。
立ちくらみとか頭痛とか肩こりとか耳鳴りとか。
ま、とりあえず命に別条ないので放置してあります。
(肩こりはかなり困ってますがweep

投稿: 海 | 2012年2月13日 (月) 16時33分

こんにちは、初めまして。韓国の推理小説に興味があり、以前からときどきブログを拝見させていただいておりました。韓国語の原書を次々と読破していらっしゃるのを見ると、尊敬の念をいだかざるを得ません。私自身は韓国語はちょっと読めるぐらいで、近年はあまりちゃんと勉強しておらず、なかなか小説を読んだりはできないもので……。
それでも情報を収集して、サイトで韓国のミステリ事情の紹介記事を書いたりしています。

こちらのページでレビューしていらっしゃる『魔人』ですが、今月末に日本語訳版が出版されますので、ぜひともチェックしてみてください(amazon等にはまだデータが登録されていませんが、表紙画像は私のサイトのトップページでご確認いただけます)。先月にはキム・ネソンが日本語で書いた小説数編と、韓国語からの翻訳小説数編を収録する『金来成探偵小説選』というのも出ております(これの巻末解題は私が執筆いたしました)。
ミステリマニア以外にはなかなか目に触れないシリーズからの出版ですので、ぜひともブログで紹介していただけますとありがたいです。
突然の書き込み失礼いたしました。

投稿: Dokuta | 2014年7月22日 (火) 16時06分

Dokutaさま…初めまして。コメント、ありがとうございます。
もしや…と思ってサイト訪問させていただきましたが、
やはり、以前に何度かのぞかせていただいたサイトでしたsmile
韓国、推理小説、らへんのキーワード検索で
お邪魔したのだと思います。

私も、日本語の本を読んでいたときは
(欧米の)推理、サスペンスしか読まなかったので、
韓国語でもぜひ、韓国の推理、サスペンスを読みたいと
願っているのですが、
やはり日本と欧米の作品が大半を占めている状況、
もどかしい限りです。
そんな中、キム・ネソン先生の作品を手にすることが
できたのは、本当に幸運です。
今回、教えてくださった2冊は、FBのブックカフェで
紹介されていたこともあり、
発売を待っていたところでしたが、
短編集が既に発売になっているとは知りませんでした!
2冊とも、近日中に紹介させて頂こうと思います。
Dokutaさまのサイトもリンクさせていただいて
よろしいでしょうか?
もし、問題があるようでしたら、ご連絡くださいませ。

最近、少しずつ韓国人作家による推理、サスペンスも
増えてきているように感じます。
次々と、読みたい本が出てきます。
また、入手、読了次第、紹介させていただきますので、
お時間があるときにでも足をお運びくださいませ^^

投稿: 海 | 2014年7月22日 (火) 19時48分

お早いご返事ありがとうございます!
以前にサイトに来て下さったことがあるとのことでありがとうございます。あまり整理もできていないサイトですが……。

なんと、本のことはすでにご存じでしたか。これは失礼しました。フェイスブックにそんなグループがあったのですね。見てみましたが、確かに金来成の本のことを書きこんでくださった方がいたようでありがたいです。
短編集……といっても、長編1編+短編3編+ショートショート1編+評論・随筆なのですが、そちらの方は先月末~今月初めぐらいに全国の書店に並びました。
『魔人』の方も今月末~来月初めぐらいには全国の書店で買えるようになるはずです。

サイトへのリンクはもちろん構いません。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、今後も韓国ミステリのレビューを楽しみにしております!

投稿: Dokuta | 2014年7月22日 (火) 21時20分

サイトのリンクを許可してくださいまして、
ありがとうございます^^

本が出版されることは存じておりましたが、
小説集の内容までは追いきれず、
Dokutaさまのサイトで確認できた次第です。
先ほど、早速注文しました^^
『魔人』も、必ずやゲットします!
翻案モノですが、『真珠塔』も、ぜひ日本語版で
出版していただきたいところです。

多数の国の推理小説に精通していらっしゃる上に、
推理小説の文学的専門知識も豊富な
Dokutaさまにお立ち寄りいただけるとは光栄です。
これからも、できる限り読みあさっていくつもりですので
よろしくお願いいたします。
「この本、どんな感じ?」などリクエストがあれば
こちらで購入、試し読みいたしますので、
なんなりとお申し付けくださいませhappy02
(ムズカシイ本は読めませんけど(-ω-))

投稿: 海 | 2014年7月22日 (火) 22時52分

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